人間の体には自分の体の不調を治していこう、
調子を整えて元に戻そうという働きがあります。
例えば怪我をした時に、
傷口を血小板が塞いで白血球が侵入した細菌と戦い膿として排除します。
ちょっと具合が悪いとき、
大事をとって水分を摂取して横になって休むと回復して再び元気になることがあるのです。
これを自然治癒力といい普段はこの力が働いて人の体調を維持して元気に毎日を過ごすことができるのですが、
この自然治癒力も毎日の生活習慣や食生活などの乱れで徐々にバランスを失っていくのです。
そうした自然治癒力が低下した状態で細菌やウィルスなどに感染すると
風邪をひいたり病気にかかってしまう可能性が高くなります。
そうした時に活躍するのが薬です。
薬には出てしまった症状を抑える働きがあります。
例えば風邪をひいてしまった時に飲む風邪薬には風邪の細菌自体を退治する効果はありません。
頭痛薬は頭痛を抑える働きがあり、解熱剤には熱を下げる働きがあり、
咳止めには咳を和らげる働きがありますが、
風邪そのものを治す力はなくあくまで症状を抑えているにすぎません。
でも人は咳があまり強く長く続くと疲労しますし
症状がますますひどくなってしまうことがありますし、
発熱が続くと汗がたくさん出て脱水症状を起こしてしまうこともあります。
頭痛がすると食欲もわかず栄養も足りなくなってしまうでしょう。
薬はこうした症状を一時的に抑えることによってその間に
体の持つ自然治癒力を回復させるのが目的で服用するものです。
熱が下がり咳が抑えられている間にしっかりと休んで水分をとって、
できれば栄養のあるものを食べて自然治癒力を回復させることで
風邪の細菌やウィルスに打ち勝って完全に治癒することができるのです。
西洋医学の薬は基本的にこのような症状を抑えて自然治癒力の回復を図るために服用します。
東洋医学の漢方薬はさらにその症状だけでなく体全体を良くしていき、
体質改善をするために服用することがあります。
風邪のための漢方薬は体を温め冷え性を改善する効果があるものがあり、
積極的に自然治癒力に働きかけるものです。
また体は独自に薬のようなものを分泌することもあります。
有名なものはエンドルフィンと言って痛みを緩和する効果がある物質です。
女性が出産するときに分娩の激しい痛みを緩和するために
エンドルフィンを大量に分泌して痛みに耐えるなど、
体は自分から薬を分泌して体が耐えられるように調節する働きもあるのです。